生み出すものには勝てない。

毎日早朝に目覚め、昨晩に決めたその日の題材についてどのような解説を書こうか考える日々を送っているうちに、おぼろげに分かってきたことがあります。 やっぱり、生み出す人は偉大だ。 この一言に尽きます。 どんなに御大層な学歴を持ち、様々な出版社から…

変わってるって、強さのことだ。

ーーー「きみ、変わってるね。」と言われたら、どう思いますか。 特に日本では「変わった人」というのはネガティブな意味で使われることが多いような気がします。変わってるやつ、馴染めないやつ。社会不適合者、みたいな。 しかし、文学は教えてくれます。…

思春期の少年、苦しく美しい心の中。

ーーー中学校の国語の授業で、誰もが深く印象に残っている、あの「クジャクヤママユ」の話。あの物語を書いた作家が、ヘルマン・ヘッセである。 「クジャクヤママユ」を盗んだあの主人公のように、不安定な思春期の真っただ中、誰しも一度は「悪」に触れたこ…

漱石「夢十夜」より。孤独な時代への処方箋。

ーーー戦争。人間どうしが殺し合いをするなんて場面は、今生きている私たちにはとても考えられない。しかし、むしろ現代の日本の方が特殊なのではないか。有史以来戦争や争いごとが絶えたことはない。明日も生きていられる保証がある時なんて、一秒たりとも…

漱石「夢十夜」より。自殺の強い誘惑と後悔。

ーーー自殺を選んだ方は、死ぬ間際に何を思うのだろう。目の前に電車の車輪が迫ったとき。高層ビルの屋上から空を飛んでいる真っ最中。車の中で体が動かなくなり、意識が消えようとしている、まさにその瞬間。 ああ、これでやっと死ねる・・ もし喜びの感情…

遅読のススメ

読書。その習慣の意味するところは人によってそれぞれです。 多くの場合、何かを学ぶために人は本を読みます。 巷には多くの本が出回っています。現代では特に、インターネットの隆盛によって紙の本が売れなくなっています。出版社も生き残りをかけて必死に…

「感受性」なんぞ、はたしていいモノなんだろうか?

私のブログでは、古来の芸術家たちが血を滴らせて書いた至高の文学を皆様にご紹介することを目的にしております。 得をするため、勝つために自分のすべてのエネルギーを捧げるのではなく、目の前に広がる世界の様々なものに関心を持つこと、冊子の中にある小…

漱石「夢十夜」より。死ぬまで挑戦して生きた者のほほえみ。

ーーー何かを夢見て、そのために懸命に頑張るとき、私たちの人生は最も充実する。一生をかけて何かを手に入れようともがいても、求めるものは手に入らないかもしれない。それでも、その人はいまわの際には大笑いしているだろう。「天国で手に入れてやるさ。…

「夢十夜」から、こんな物語を考えてみました。(第二夜)

夢十夜「第二夜」から。没落した武士のプライドと絶望。 俺は侍だ。武士や侍たるもの、江戸の時代では歩いているだけで自分より下の身分の者どもが頭を深く垂れたものだ。気分次第で百姓どもを斬り殺しても大したお咎めもない。それが侍だ。 ところが、時代…

「夢十夜」から、こんな物語を考えてみました。(第一夜)

ーーーこういうふうに考えてみた。 時は明治時代。とある乙女が(あるいは青年が)、自らの小さな心の中に、あふれんばかりの苦しい思いを抱えていた。SNSも無い時代、なんとかしてこの苦しみを表に出したい。しかし、周りの人間は誰も理解してくれない。苦…

うつ病は根性では治せない。アラン「幸福論」に反論。

ーーーフランスの新聞に長年掲載されてきた幸福に関する論文。哲学者アラン「幸福論」では、いまも世界中で謳われているような「憂鬱」や「悲しみ」に対する根性論的な解決策を説いている。 彼ははたして本当にうつ病に罹ったことがあるのだろうか?もしくは…

この時代のためのあたらしい「本要約」を。

はじめまして。 突然ですが、心に迫る「問い」を一つ。 「ビジネスと自己啓発ばっかりやっていて、本当に僕たちは幸福になれるのか??」 世間一般的に読書をすることは良いこととされています。しかし、皆さまは何のために本を読んでいますか?どんな本を読…